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甦った幻の絹「小石丸」養蚕奮戦記 5/6 

藍染にぴったりの適性

 

小石丸まゆ
小石丸まゆ
小石丸絹 (右)10粒の’原糸、(左)100デニールの合撚糸

・小石丸絹
(右)10粒の’原糸、(左)100デニールの合撚糸

 撚り上がった糸は柔らかく、そのままでも織りにできそうだが、染め付きと毛羽立ち(ラウジネス現象)の程度を調べるために酵素練りを行なった。小石丸はセリシンを含む度合いが少なく、30分で練りを終えた。そして乾燥後に藍染めを施した。

 私共の藍染めは古来の灰汁醗酵建ての手法を用いているので、一般の絹糸でも毛羽立ちは少ない方だが、時折、藍の調子の加減で毛羽立ちが生じることがある。

 小石丸絹糸を藍染めしていて一般の絹糸と全く異なることに、すぐ気付いた。

  • 染め付きがとても早い、いわゆる藍の食いつきが良いこと(しかし、早く染まるのでむら染めへの注意が必要)。
  • ラウジネス現象が殆ど起らない。
  • 艶が失われない。

等々、良いことづくめであった。藍染め後の糸繰りも当然張りに強いので、細い糸にもかかわらずスムーズにいった。

 この糸を整経して藍地に花織の小幅着尺を織る。経糸に寸間140本(経総数1、360本)、緯糸に寸間166本を使用する。さすが細い糸なので織り進みは遅い。しかし、経糸の張りが丈夫で糸切れがごく少ない。やはり優れた糸である。

 織り上がった反物は1反380グラム、きめ細かく光沢のある軽い反物ができあがった。完成第一作のこの反物は、京都の間屋さんを通じて東京の顧客へ渡っているが、裏地より表地の方が軽い位だと賞賛された。

 第2作としては、やはり藍染めで絣と花織を制作(写真)した。この後は細くて軽い特性を生かして洋装のスカーフを手掛けてみたい。

 藍染めのほかに、紫根、刈安などの植物染料でも染めてみたが、染料の乗りは一般絹糸の未精練糸以上に良い。しかし、その効果が最も表われるのは藍染めだった。化学染料による染色試験はまだ行なっていないが、その染色性は多分よい結果が期待できそうである。

 良い事づくめで短所を見つけることは難しいが、唯一最大の欠点は、糸価が高いということ。繭価が通常の4倍、その上糸量が少ない、非能率的な座繰り法なので糸価は一般生糸の約8倍にもなるが、軽い織物に仕上がるので1反当りで考えると約6.5倍に落ち着く。

 しかし、市場性があれば繭価が高いことは養蚕農家にとっては付加価値の高い仕事となる。


現在は20倍以上になっています。

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