甦った幻の絹「小石丸」養蚕奮戦記 4/6
座繰り器による糸取り
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糸取り |
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機織り |
繭から糸にするには、昔は座繰りという手法で行なわれていた。現在は白動繰糸機によって、高速で高能率の製糸が行なわれている。しかし、高速で繰ることは糸の質にとって良いことではない。高速で製糸し、ピーンと張ったままで乾燥させた絹糸は、丁度輪ゴムを引っ張った状態のような糸で、もう伸びる余地も少なく、従って織物になった時に擦り切れ易い。
このような針金糸といわれる現在の絹糸に対して、縮んだ輪ゴムのように伸びるゆとりを持った絹糸を目指したい。そのためには経済的な能率を犠牲にしてでも昔の座繰り器を復元して、これで糸を取りたいと考えた。
座繰り器の資料収集に滋賀県木之本町の琴糸用の座繰り、長野県岡谷市蚕糸博物館所蔵の各種座繰り器を調査し、3条式座繰糸器を岡谷市のメーカーに発注。併せて古い道具の部品を方方から取り寄せてやっと思い通りの座繰り器ができた。
糸引きの技術は、これまで私の工房で2条操足踏式座繰器を使って、交雑種の繭から糸取りを行なっていたので全く間題はなかった。
だが小さな小石丸の繭からの糸取りは、予想以上になかなかはかどらない。繭10粒付けの糸で、1日かかってせいぜい300グラムの生糸しかとれなかった。
しかし、その苦労は、手にした小石丸生糸の素晴らしさを前にして、大きな喜びに変っていた。10粒付けで約19デニールのとても細く、しかも強く、引っ張ってもなかなか切れない糸。細くて張りに強い糸は、織物を制作する立場からいえぱ理想的な糸、小石丸はそのことを実証してくれた(ちなみに普通の交雑種では繭1粒が2.7〜3デニールの太さで、10粒では27〜30デニールとなる)。
この生糸を京都の下村氏に合撚糸を依頼して、95〜100デニール(撚度は1メートル当たり右190回)の絹糸とした。
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